2人のラーメン職人が熱く語り合う好評の企画「拉麺トーク」第6弾。今回は、同じ昭和43年生まれの2人、津田沼必勝軒の小林さんと、行徳がんこの三田さん。2人は昭和43年生まれの有志で結成した「昭和43年友の会」のメンバー。今回は同じ年に生まれた者同士で、ラーメンの話よりも昔懐かしいネタで盛り上がろうという趣旨で対談を始めたのですが、いざ始めてみればそこはラーメン屋同士、いつの間にか真剣なラーメン談義になっていって…。

 1968年千葉県習志野市生まれ。1987年高校を卒業し家業を継ぐために服飾の専門学校へ進学。卒業後、英國屋に就職し外回りの営業マンとして実績を挙げる。大勝軒(東池袋)の味に惚れ込み職を辞して修業を志願するも厨房に入れず、山岸氏の薦めで大勝軒(永福)に入り6年間修業。その後東池袋で修業を許される。2000年「必勝軒」を開業し、行列店に。2001年コラボレーションの先駆けでもある「千葉拉麺四天王」を結成する。

 1968年東京都中野区生まれ。生まれて間もなく大阪府枚方市に転居し幼少期は大阪で過ごす。1983年に上京し就職。その後がんこ(新宿内藤町)の味に惚れ込み修業を志願。1995年暖簾分けを許されて行徳に「がんこ十一代目」を名乗る。2002年千葉拉麺四天王大晦日イベントにサポートメンバーとして参加し、小林氏と出会う。2003年ラーメンコラボレーションユニット「麺魂」結成に参加。千葉ラーメン界屈指のサバイバルゲームマニアでもある。

三田「こんばんは〜…、あれ、小林さん、もう飲んでるんですか?(笑)」

小林「いやぁやっぱり仕事終わった後にはね、とりあえず飲まないとさ。三田さんってお酒は飲まないんだっけ?」

三田「自分は飲まないッスよ。お酒は毎日飲んでるんですか?」

小林「いやいやそんなことないよ、たまに、うん、たまにね。たまに毎日ね(笑)あれ?その胸についてるのは何?名札?」

三田「真剣10代しゃべり場(NHK)みたいにしようかと思って自分で作ってきました(笑)」

小林「なんだよ、俺のも作ってきてくれればよかったのに(笑)」

三田「すいません(笑)でも身体大丈夫ッスか?もう若くないんだから、お互いに(笑)」

小林「昭和43年友の会だからね(笑)同い歳なんだもんなぁ」

三田「自分と小林さんて誕生日がすごく近いんですよ」

小林「え、そうなの?うそ、いついつ?」

三田「自分は11月の20日なんですよ。小林さんて15日でしょ?同じ週に生まれてるんですよね。小林さんの方が5日お兄ちゃんです(笑)」

小林「うわ〜、そうなんだ〜。それは奇遇だな〜。でも若くないっていうのはあるかもなぁ。いや、昨日もさ子供の野球に付き合ってたら首痛めちゃって(苦笑)今首が回らないんだよね、痛くてさ」

三田「それは大変ですね。自分も最近膝や腰が痛いんですよ」

小林「でもね、子供の野球とかサッカー見てると可愛いし面白いよ(笑)サッカーなんて子供ってみんな一つのボールに集まっちゃってさぁ、パスも何もあったもんじゃない(笑)」

三田「あはは(笑)お子さんおいくつでしたっけ?」

小林「一番下の男の子は小1なんだよね」

三田「へぇ〜、小1でもうサッカーとかやるんですねぇ。そういえば小学生の頃って何して遊びましたか?自分はヨーヨーが思い出に残っていますけど」

小林「あ、コカコーラのヨーヨーね!やったやった」

三田「クラスの皆が『犬の散歩』してませんでしたか?(笑)あとは牛乳瓶の紙の蓋があるじゃないですか、あれをパッって息吹いて、メンコみたいにひっくり返したら勝ちみたいなのをやりましたね。あとはスーパーカー消しゴム!」

小林「ちっちゃいヤツでしょ。赤とか黄色とか色んな色のがあってね。ランボルギーニ・カウンタックとかさ、あったよね。懐かしいな〜」

三田「自分はよくスーパーカー探しの旅に出ましたよ(笑)。どこかでポルシェを見たって聞いたら、カメラ持って探しに行くんです」

小林「俺はブロック崩しとか、インベーダーゲームなんかをやったな」

三田「平安京エイリアンなんてのもありましたよね。ただ自分はゲーム1回に100円っていうのは使えなかったなぁ。あとガンダムのプラモやりませんでしたか?」

小林「やった!並んで整理券貰って買うんだよね。シャア専用ザクが入荷しました!とかいうと大騒ぎでさ(笑)」

三田「そうそう(笑)自分はよく弟に並ばせて買いに行かせましたよ(笑)仮面ライダーやウルトラマンも観ましたね。自分たちの世代だと、仮面ライダーならストロンガーまで、ウルトラマンならレオまでですけど」

小林「最近も仮面ライダーってシリーズになってるけれど、よく分からないよね(笑)昔の1号とか2号とかしか分からないな(笑)」

三田「でも1号2号はちょっと時代的には古くないですか?きっと自分たちのリアルタイムはV3からですよ」

小林「♪赤い仮面のV3〜♪って歌だったっけ?そう言えばさ、思い出したけど小さい時に仮面ライダーごっこやっててさ、変身!って言って椅子から飛び降りて前歯折ったことがあるんだよ(笑)今でも親に言われる、あの時は大変だったって(笑)」

三田「え!歯が折れちゃって大丈夫だったんスか?(笑)」

小林「ほら、子供の歯だからさ、また生えてくるから(笑)」

三田「あはは。あと昭和43年って言えば、自分たちとカールやボンカレーが同い歳なんですよ(事前に調べてきた紙を見ながら)」

小林「何それ?あ、調べてきたんだ、偉いなぁ〜(笑)。でもカールってそんな古いんだ、カール大好きだよ!あとスピンも大好き!」

三田「スピンってよく分かんないッス、どんなんでしたっけ?」

小林「え、スピンだよ!知らないの?丸くてさぁ穴が空いててさぁ…。」

三田「あ〜、何となく思い出しました。自分はお菓子だったらアポロチョコですかね」

小林「イチゴの三角のやつだ」

三田「自分人生で唯一万引きしたものがアポロチョコだったんスよ。後にも先にもそれ一回だけ。万引きして食べたアポロチョコが美味しくなくって…。万引きなんてやるもんじゃないって思いました。そういう苦い思い出があるのがアポロチョコです」

小林「三田さんて純粋なんだな(笑)俺が万引きしたのはシャーボだな。右に回すとボールペン…」

三田「左に回すとシャープペン!懐かしいッスね〜。シャーボ万引きしたんですか?あれ結構したでしょ?」

小林「何千円もしたよねぇ。今だから言えるけど、小学生の頃シャーボ盗んで友達に売ったことがあってさ。これは儲かる!って思って(笑)」

三田「それ万引きっていうか本物じゃないッスか(苦笑)」

小林「うん(笑)でも高く売れたから味をしめてまた近くのスーパーに盗みにいったわけ。でも悪いことは出来ないわけよ。シャーボ盗んで逃げようとしたらさ、怖い男の人が後ろからやってきて『おじさん見ちゃったんだよ。一緒に事務室行こうか』って。捕まっちゃったんだよね」

三田「うわぁ(苦笑)親呼び出しッスか?」

小林「それがさぁ、いいおじさんだったっていうか。『今までにもやったことあるんだろ』って聞かれてさ、もうばれてるわけ。だからハイって言ったらさ、『今まで盗んだモノを返したら許してやる』って言ってくれたのよ。学校にも親にも言わないでおいてやるって。だから売った友達のところにいって回収(笑)」

三田「あはは、良かったですね(笑)」

小林「でも懐かしいなぁ〜。あの頃に戻りたいなぁ。やっぱり歳とったもんなぁ」

三田「同窓会で集まる友人が皆おばちゃんなんですよねぇ(笑)」

小林「あぁそうかもしれないなぁ」

三田「でもおばちゃんでいいかも。若い子がいても目を合わせられないから(笑)」

小林「俺は逆に近づきたいけどね(笑)店のファンの若い子なんかと話をしていると楽しいよ」

三田「いやぁ、なんか最近若い人たちと話がかみ合わないんですよ。無理して合わせるのも疲れるし」

小林「あぁそれは俺も最近そうかもしれない」

三田「若い頃って好奇心があるというか、何でも経験したりするじゃないですか。でもこの歳になると経験があって、動かなくても分かるようになったというか。そういう部分で面倒になってるのはありますね」

小林「俺も最近外にはほとんど出てないよ。面倒っていうか、毎日がつまんなくてさぁ」

三田「じゃあサバゲー(サバイバルゲーム)やりましょうよ!すごく楽しいッスよ」

小林「サバゲーって銃使うんだっけ?何を撃つの?」

三田「人間ッス(笑)」

小林「え、当たったら痛いじゃん」

三田「痛いですよ。ほらここ見て下さいよ、あざがあるでしょ。これ昨日のゲームで撃たれたところッス」

小林「危ないなぁ、目に当たったらどうするの?」

三田「大丈夫ですよ、ゴーグルつけますから」

小林「いつやってるの?」

三田「ほとんど毎週ッスね(笑)」

小林「どこまで行ってやってるの?」

三田「佐倉の方とか、若葉区の方とかですね」

小林「でも三田さんはいいよね、趣味があって。俺は趣味がまったくないよ。いつもラーメンのことばかり考えてる」

三田「ホントっすか?自分は仕事中以外にラーメンのこと考えたことないですよ(笑)」

小林「いやラーメンのことというか、営業のことかな。お客さんが一人も来なくなったらどうしようとか」

三田「あぁそれは考えますね。いつかプッツリとお客さんが来なくなるんじゃないかって思いますね。落ちる時って早いですからね」

小林「そう、売上げが落ちないかなと心配でさ」

三田「いや、でももっと大変なお店がたくさんありますから。小林さんのところは大丈夫ですよ」

小林「いやいや、粉代もバカにならないからね。うちは麺が多いし増量もやっているからその分をかぶらないといけないから」

三田「小林さんは麺も打ってるから大変ですよね。自分は麺はやってないですけど、それでも昼過ぎに店入ってほぼ12時間は店にいなきゃいけないじゃないですか。それが凄くイヤなんですよね。もう登校拒否の子供みたいに、家を出る時にお腹が痛くなるんですよ。多分自分には向いてないと思うんですよね。向いてないのにやってるんです(笑)」

小林「三田さんはなんでラーメン屋やってるの?」

三田「生きるためですよ。自分はこれしか出来ないッスから。ラーメンを作ることは好きなんですよ。接客が苦手なんですかねぇ。オープンキッチンで見られてるじゃないですか?そこで仕事をするのが辛い。胸がきゅっと詰まるというか、精神的にプレッシャーがかかるというか」

小林「俺は逆に目の前にお客さんがいなくなると気分が悪くなるけどね(笑)」

三田「お客さんがラーメン作ってるの見てるじゃないですか。あれがダメなんですよ。待っているお客さんの視線が辛い。早くラーメン出して楽になりたい、って思っちゃいますね(笑)」

小林「あぁでも早く出してあげたいって気持ちはあるな。接客に活かせるかと思って心理学の本も読んだりしてるんだけどさ、やっぱりお客さんは待たされるのって嫌いだからね。特に外で待たされるのよりも中に入ってから待たされる方が嫌い。うちはディズニーランドを参考にして、お客さんに『あと10分で出ますよ!』『あと5分ですからね!』って声をかけるようにしてるんだ。ディズニーランドのアトラクションに『あと何分』って出てるでしょ?あれを応用したんだよね」

三田「その時間って正確なんですか?」

小林「いや、いいかげんなんだけど(笑)まぁ長年の経験でそうずれることもないけれどね」

三田「自分は出来るだけ早くラーメンを作りたいって考えてるんですよ。だから脇目も振らずに全力でラーメンを作るんです」

小林「同業をあまり言いたくはないけれど、行列を作るためなのか、わざとゆっくり作っている店もあるよね」

三田「あ、ありますね。あとはどんなに混んでいても2つずつしか作らない店とか」

小林「そう、2つずつってどうなのかね。味がぶれないようにということなのだろうけど」

三田「味に気を使っても、技術的には4つまで作れると思うんですけどね」

小林「他にお客さんがいないならいいけれど。特にお昼時なんてさ、仕事中のお客さんは1時間の昼休憩に来てくれるわけですよ。その貴重な時間を無駄に出来ないから、そこで2つずつってねぇ…。俺だってそういう時は急いで作るよ」

三田「それで湯切りをしないんですか(笑)」

小林「何言ってるの(笑)それはねちゃんと計算があるんですよ。いい?忙しい時間帯に6杯を同時に作るでしょ?50ccのレードルでカエシをパパパッと入れていくと、1番から6番の丼を見ていくとどうしても丼によってカエシの量に差が出るわけですよ。そのカエシの多いやつに関しては湯切りをしないの(笑)」

三田「なるほど(笑)自分は2時には店入るんですけど、小林さんは何時ですか?」

小林「朝の6時には店に入ってるよ。スープに火入れして、植木の手入れしたりしてね」

三田「それでこの時間までお店にいるんですか。小林さんの店は昼夜営業じゃないですか。昼夜は大変ですよね」

小林「うん、なんか最近さ、このまま死んじゃうんじゃないかって思うこともあるよ(笑)こんなハードな仕事してたらあと5年で倒れるんじゃないかって(笑)」

三田「本当にそうかもしれないですよ(笑)。やっぱりお酒毎晩飲まない方がいいかもしれないですよ」

小林「小1の息子が大きくなるまでは頑張ろうって思ってるんだよね。息子が大きくなったら昼だけのんびり営業する、みたいなスタイルに出来たらいいなと思ってるんだ」

三田「東池袋もそうですよね。昼営業だけで」

小林「そうそう、限られた杯数だけで。出したら終わりみたいなね。うちもいずれはそうしたい」

三田「限られた杯数っていうけど、小林さんとこはその限られた杯数が多いじゃないですか(笑)」

小林「そんなことないよ。100とか200とか、そんなもんだよ」

三田「ほらぁ。200って一日ででしょ、昼夜で。うちの3日分ですよ、それ」

小林「嘘つけぇ(笑)ところで三田さんはどこで生まれたの?」

三田「東京の中野です。生まれだけですけど(笑)」

小林「へ〜、江戸っ子じゃん」

三田「一応、生まれだけですけど(笑)小林さんは千葉ッスか?」

小林「うん、多分(笑)」

三田「多分って(笑)自分は生まれた後は大阪の枚方にいました。15の時にまたこっちに戻って来るんスけど。小林さんは洋服の専門に行ったんですよね」

小林「そう。家が紳士服やってるから紳士服を学ばないとって。高校卒業して新宿にあった専門に2年行って、それから英國屋に行ったの」

三田「英國屋ってソープですか?(笑)」

小林「ソープじゃないよっ!洋服屋だよ!(笑)これでもトップセールスマンだったんだよ。役者さんとか政治家がお得意様でね」

三田「それがなぜラーメン屋に?」

小林「バブルがはじけてさぁ、高級な服は売れなくなるだろうって思ってね」

三田「それで永福大勝軒で修業でしたっけ?」

小林「うん、本当は東池袋に行ったんだよ。教わるなら山岸さんの味、って思ってたからね。だけどその時東池袋の厨房がいっぱいで。そうしたらマスターが『永福の大勝軒に行け』って言うからさ(笑)それで6年永福で修業したの」

三田「でも永福の大勝軒と東池袋って全然関係ないんでしょ?」

小林「うん、名前が一緒なだけで(笑)だから本当に修業に行ってきました、って山岸さんに挨拶に行ったら驚いてたよ(笑)それでその後に東池袋に入ることが出来たんだよね。でもマスターがいたから今の自分がいる。今でも季節の変わり目ごとに挨拶というか、顔見せに行ってますよ。三田さんは一条さんのところで長かったの?」

三田「いやぁ、うちの場合はみんな数ヶ月ですよ。優しくて怒られることもなかったし、修業時代は楽しかったですよ。期間は短かったッスけど、仕込から接客、しっかり教えて貰って独立しました」

小林「お店開けた時ってどうだった?俺は凄く緊張したなぁ。店オープンするまで毎日麺上げとか練習したり、営業のシミュレーションをしたけど緊張した」

三田「自分は修業終わってからお店オープンする時までラーメン作んなかったッスよ(笑)」

小林「え!それはすごい!不安じゃなかった?俺なんか合計7年修業してたけど不安で仕方がなかったよ」

三田「大丈夫でしたねぇ(笑)糸コンニャクでちょっと練習した程度で(笑)」

小林「でも俺三田さんのラーメン好きなんだよな。悔しいけど旨い。初めて食べた時に感動してさ、これはもう三田さんのところで修業するしかないなって(笑)」

三田「何言ってるんですか(笑)」

小林「さっきの話じゃないけれど、うちのラーメンって味が濃いし、言葉悪いけれどごまかしがきくラーメンなんだよ。だけど三田さんのラーメンはごまかしがきかない。カエシの量も少ないでしょう?そういうラーメンって難しいんだ」

三田「確かにカエシでもっていくラーメンではないので、バランスは難しいかもしれませんね。ましてや行徳という土地柄を考えた時に、教えてもらった味よりも塩分落として始めましたから、余計にカエシも少なくて」

小林「カエシの塩分濃度を下げてみたら?」

三田「いや、それも難しいんですよね(苦笑)自分も小林さんのラーメン好きですよ。味ももちろんですけど接客が凄い。自分には絶対に真似の出来ない接客です。天性のモノなんですかね? 初めて必勝軒に客としてお邪魔した時に話しかけられてびっくりしましたもん(笑)」

小林「え?本当?俺話しかけたんだ?」

三田「そうですよ。よくこの人は話しながらラーメン作れるなぁって驚いた(笑)。自分なら絶対間違えちゃいますから」

小林「間違える?何を間違えるの?」

三田「油の量とか麺の茹で時間とかカエシの量とか…。自分ノーミスでないとイヤなんですよ」

小林「そういうのはたまに間違えるよ(笑)でもそこはほら、愛嬌で乗り切るのさ。チャーシューサービスとか(笑)。ところで俺は三田さんに何て話しかけたの?」

三田「『味はどう?』みたいなことを聞かれました。あぁ、この人は気にする人なんだなぁって思いましたね」

小林「それは気になるよ。毎日気になってる。毎日が反省だよ。味もそうだし、接客もね。今日はこの人に声かけられなかった、今度はちゃんと話しかけよう、とか」

三田「本当ですか?自分はないなぁ、そういうの。一見さんも常連さんも分け隔てなくっていうか、全く同じ扱いというか」

小林「私の場合もそうですよ。私にとってお客様は常連さんでも一見さんでも皆仲良しの家族みたいなものですから」

三田「家族って、なんだかヨン様みたいッスね(笑)」

小林「ピョン様だから(笑)でもね、どんなお客様に対しても気持ちよく美味しく食べて頂きたいって気持ちは変わらないけれど、やっぱり常連さんやお子さんにはサービスしますよ。これは仕方ないでしょう。毎日来て下さってるわけだから、それに対しての感謝の気持ちっていうかね。毎日来て下さっている方に支えられているわけだからね。この人たちが来なくなったら自分はどうなるんだろう、って考えることもあるしね」

三田「なるほど」

小林「だから私からお客様への提案としてね、日によってスープを変えているわけですよ。業界初の毎日味が違うラーメン屋(笑)」

三田「毎日変える意図って何なんですか?」

小林「昔は県外から来て下さる方もいたけれど、ブームが去ったというか最近はそういう方も少なくなって。やはり地元の常連さんを大切にしなければいけないわけですよ。そうすると地元の方が毎日来るにはどうしたらいいかと」

三田「もちろん地元密着というスタイルが長く店を営業する秘訣ですけど、小林さんは同じお客さんに毎日来て欲しいんスか?」

小林「うちの場合お客さんの約1割の方はほぼ毎日お見えになる方なんですよ。一日のうち約7割が常連さんです。そうするとその人たちを満足させなければうちは潰れます。ラーメン人口って減っていると思うからね」

三田「でもそういう気持ちは分からなくはないですね。自分も広く受け入れてもらえるようにと、教えてもらったがんこの味を敢えて変えたわけですから」

小林「うちは自分の好きな味を見つけて貰って、その日に来て貰えればいいの。初めてのお客さんが多い土曜日は、横文字なんだけどオールマイティースープっていうか(笑)。万人受けする味にしてね」

三田「自分はいつでも万人受けを狙ってます(笑)。でも最近ってラーメンブームがどうこうっていう以前に、人が夜出ていないでしょ?遊んでいないっていうか。ほら、昭和43年組としては、バブルを知っているわけじゃないですか(笑)あの頃とは全く街の様子が違うわけで」

小林「そうだよね〜、あの頃とは違うよね」

三田「でも正直自分が開業した10年前あたりから、小林さんが開いた5年前あたりまでが一番いい開業のタイミングだったと思いますよ。今はちょっと厳しいでしょ」

小林「そうかもしれないね。でも私だって日々勉強ですよ。最近も味をいじっててさ、今月から塩を新しくしたんだよね。三田さんって塩は何使ってるの?」

三田「自分は赤穂ッス、天塩」

小林「赤穂か、今までは冬に使ってた塩だな。夏は伯方の塩でね。塩は悩んじゃうんだよね、どーシオーって(笑)」

三田「塩だけにどーシオーですか(笑)今はどんな塩なんですか?」

小林「最近は讃岐の塩を使ってるんだ。香川県はうどんで有名なところだから、うちのもっちりした麺と相性がいいのかななんて思ってるんだけどね」

三田「面白いですね」

小林「飽きられないようにしないとね。行列を守らないといけないからね」

三田「ずっと行列ですか?」

小林「最近は随分短くなったよ。多くて15人待ちくらいじゃないかな。うちは2人前ずつ作らないからね(笑)」

三田「新しいお弟子さんが入ったんですね。お弟子さんをとるのは難しいでしょう?」

小林「自分の理想のスタイルがあるんだよね。ラーメン屋としての姿勢とか、考え方とか。それを分かってもらいたくて教えようとするから、どうしても厳しいことを言ってしまうし。だからやめていく人も多いのかもしれないけど」

三田「弟子って難しいんですよ。出来ないヤツってそもそも使えないじゃないですか。そして出来るヤツってすぐ仕事覚えてすぐに独立しちゃうでしょ。ノウハウだけ盗まれちゃうこともあるんじゃないですか?」

小林「そういうのは仕方ないのかもね。でもやっぱりその人を信じて教えようと思うわけだから、すぐやめられちゃうと淋しいよね」

三田「信じられぬと嘆くよりも人を信じて傷つく方がいい、ってやつですね(笑)頭いいヤツ、小狡いヤツっていますからねぇ」

小林「でも今いるお弟子さんはいい子ばかりだよ。うちは今月5周年を迎えるんだけど、三田さんのところは10周年か。お互いに区切りのいい年なんだね」

三田「そうですね。お互いに身体を大事にして、長く営業しないとね」

小林「首がすごく痛むんだけど、これで営業出来なくなっちゃったら、支払いも大変だし休めないんだよなぁ。なんだかね、他人の話を聞いたり話す時は妙に強気なんだけど、自分のこととなるとマイナス思考になってしまう(笑)」

三田「いや自分も腰痛いですから、腰から全身に来てますよ」

小林「首や腰が痛いのを我慢して営業してるとさ、お客さんから『楽しそうですね』って言われるんだよ(笑)なんか楽しいことない?あったら教えてよ」

三田「楽しいことって言ったら、やっぱサバゲーっすよ!(笑)」