自家製麺ばくばく


外観(11.5.12)

醤油らーめん(11.4.30)
濃厚つけめん(11.4.30)

所在地 木更津市潮見5-1-30
電話 0438-36-6645
営業時間 11:00〜15:30,17:30〜20:00
11:00〜20:00(土日)
定休日 月曜
アクセス JR内房線「木更津」駅西口下車。駅ロータリーを直進し、県道90号を左折し直進。県道沿い右側。セブンイレブン隣。駐車場あり。

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 5月1日、木更津にオープンした話題の新店である。何が話題なのかといえば、店主の太田和さんが20歳という若さなのと、人気店「麺や七彩」出身であるということ。さらには一緒にお店に立つ25歳のお兄さんも「せたが屋」など数々の人気店でキャリアを積んでいるということ。さらには竹岡式をはじめとする房総ラーメンが闊歩するエリアで、無化調・厳選素材・自家製麺などといった要素を持ったラーメンを提供するということ。どれをとっても話題に事欠かない店なのだ。話題性からもそのラーメンの方向性からも、正直木更津よりも都内で出す方が良いようにも思うのだが、東京ではなく敢えて地元木更津で勝負しようという気概も素晴らしい。オープン前日に試食で食べて、オープン後10日程経ってからも再訪。

 場所は木更津港から君津方面へと南下した県道沿いで、木更津大勝軒と同じ通り沿いの駅からみたら手前にある。雀荘など4軒長屋の1角で、駐車場は店前と店に向かって左側にも用意されている。自家製麺と誇らしげに掲げられた真新しい看板が一際目を引く。そこには「ばくにょう(麦)」の中に麦という字を当てはめた漢字の落款が書かれていて、これを「ばくばく」と読ませるらしい。自家製麺なので麦にこだわっているということと、もちろん「バクバク食べる」という語感とのダブルミーニング。なかなか面白い。店内はスッキリと明るく清潔感がある。入口脇にはガラス張りの製麺室があり、自家製麺であるということをアピール。その製麺室と厨房に面するように都合6席のカウンター席と、入って右側には4名用テーブル席が2卓。いずれはテーブルが1卓増える予定だそう。

 メニューは鶏清湯ベースの「醤油らーめん」(680円)と、濃厚な豚骨魚介ベースの「濃厚つけめん」(750円)の2種類。まず「醤油らーめん」は非常に清廉なビジュアルにまず目を奪われる。種鶏どりの丸鶏がメインにドンと座って、それを豚が軽くサポートしているような味わい。さらに牛の味わいも後から追いかけてくる。骨と肉、鶏と豚牛、いくつもの異なる旨味が折り重なっている味わいはお見事。そこに弓削多醤油のコクと風味、香りが加わっていく。この醤油ならではの独特の甘みや香りが印象的だ。表面に浮かぶ香味油も鶏油と背脂の風味が重なる。もちろん無化調無添加。麺は減農薬で育てられた内麦100%とモンゴル鹹水を使用した中細ストレート麺で140g。しっとりしなやかな食感がスープを優しく拾い上げる。低温調理されたチャーシューもしっとり柔らかでとても美味しい。あとは白髪ネギ、カイワレ、穂先メンマ。具のチョイスがいささか安直で凡庸であることは否めないが、どれももちろんスープに合っている具材であるし、切り方や調味などもスープを汚さない配慮がされていて良いと思う。

 一方の「濃厚つけめん」は、ラーメンとは正反対のビジュアルと存在感で現れる。つけダレは豚骨にモミジ、魚介を合わせて半日以上炊き上げた高濃度豚骨魚介系。濃度や粘度はかなり高いものの、甘味や酸味、辛味などの調味が控えめになっているので、このタイプのつけダレには珍しく素材感がしっかりと感じられる味わいになっている。しかしそこに牛脂を使った香味油と、もう一つの隠し味(企業秘密でもなんでもないのだが、ネタバレしないよう伏せてみるのでぜひ何かを探って頂きたい)が入ることによって、所謂「またお前もか系」というカテゴリとの差別化が図られているのだ。麺は全粒粉の風味豊かな極太ストレート麺で、並盛200g中盛300gいずれも同料金。あつもりの選択も可能だ。具はチャーシュー、白髪ネギ、万能ネギ、メンマとほぼ同じ構成だが、チャーシューは脂身の多い部分をキューブ状に、メンマも極太の食感あるメンマにするなど、ラーメンとは違った形にしているのもそつがない。

 お世辞抜きでどちらのメニューも非常に感服した。特に清湯系のラーメンは県内でも新店、既存店すべての中でも三本の指には入るの味わいではないだろうか。「新店とは思えぬ完成度」という言葉を良く使うがまさにその言葉の通りで、店作りからメニュー構成、ビジュアル、味、すべてにおいて憎らしいくらいにまったく隙がない。接客も非常にこなれていて、テーブルウォッチもしっかりしているし、つけ麺などメニューが遅れたり前後している人への声掛けも欠かさず、帰りにはドアまで見送るなどこちらも味同様に完成されている。千葉のラーメンファンはもちろん、ラーメン好きならば近県からも交通費や高速代、アクアライン代をかけてでも来る価値があると言っても良い。

 しかしあまり褒め過ぎるのも気持ち悪いので、敢えて今私が懸念している部分を書けば、良くも悪くも修業先でしっかりと学んだ二人だけにその影響が色濃く感じられて、ある種の没個性的な既視感の強いラーメンになっていることは否めない。20歳と25歳の二人が作るラーメンならば、もっと荒削りでもっと大胆でもっと私たちが食べたこともないような、そんなやんちゃなラーメンであってもいいように思うのだが、このラーメンにはそういう若さや弾けるようなスピリッツはなく、まるで老練のベテラン職人が作ったような風体なのだ。よってもちろんラーメンとしては非常に美味しいのだけれど、そこに感動はない。美味しいことと感動することは違うのだ。ぜひ若い二人には食べ手の心を震わせるような「感動させるラーメン」を目指して作って頂きたいと思う。とはいえ、全ての芸術は模倣から始まる。このラーメンをスタートラインとして捉えたら、今後どのようなラーメンを出すことになるのか、それを考えただけでもこの若い二人の今後の吸収と成長が恐ろしい。10年後でも30歳と35歳だぜ。これからの進化、成長が非常に楽しみな新店の誕生だ。必食。(Ricky) Check

2011.5.12