第5話:最高の夏の思い出


2000.8.30 13湯麺にてマスター松井さんと

 「いやぁ黒門最高に旨かったッスねぇ」興奮さめやらぬ少年隊のメンバー達。当然一杯で彼らの胃袋が収まるはずがなかった。次はどこに行く?「やはり13湯麺を食べてみたいんですけど」過去に少年隊の面々が私に「旨いラーメンってどんなのですか?」と尋ねたことがあった。その時私は「麺とスープしかないラーメン」と答えたのである。その時から彼らの妄想は膨らみ「13湯麺喰いてぇ〜」と毎晩夢に見るほどであったのである。

 車は早速松戸市五香へ。実は鎌ヶ谷〜五香のエリアはVictoryが幼少期を過ごした町で、今でもおばあちゃんが住んでいる町なのである。当然移動中はVictoryが思い出トーク炸裂である。「ここのお店!懐かしいなぁ」「ここの保育園に行っていたんだ」「おばあちゃんの家はあそこ」すっかりふるさと探求ツアーと化した一行であったが、アッという間に五香に到着。車は13湯麺の前に到着した。「え、どこですか、13湯麺」だからここだっつーの。キョロキョロするメンバー。「あ、!13って書いてある!」「これがラーメン屋さん!?」

 店の中に入るとカウンターのみが空いていて、あとはすっかりバー状態。奥の方では楽しい酒宴が繰り広げられていた。「をい、ここ飲み屋だぜ」「ラーメン屋じゃないぞ」などとコソコソ言い合う少年隊。すると店主松井さんがやって来た。「お!今日は生徒を連れて来たの?」以前13湯麺を食べたいと言っている生徒がいるという話を覚えていてくれたのである。「どうだ、ラーメン屋っぽくないだろう?」松井さんは心なしか嬉しそうである。「俺が目指しているのはなぁ、アダルトなラーメン屋なんだよ!」「あ、俺アダルト大好きッス」それは違うアダルトだろう!早速湯麺4つに中国風角煮と青菜の炒め物をオーダーする。

 しばらくしてまず青菜と角煮が到着。「これ、ラーメン来るまで待ってるんですか?」いやいや熱いうちに食べなさい。「う、うめ〜!」「ゴマ油が効いていて最高!」「こんな旨い青菜喰ったことない!」そして次は角煮である。「や、やべ!旨すぎる!」「りょーすけに申し訳ない!」そうなのだ、この日欠席のりょーすけは「肉ファン」なのである。

 そしてまずはVictoryとオッキーの湯麺が松井さん自らのサーブ。「熱いから気をつけて」と松井さん。まずスープを啜る2人。…。沈黙が続く。またスープを飲む2人。…。「どうよ!どうなの!」みっくんがしびれを切らして2人に聞く。「いや、言葉になんない」「さっきの豚骨ラーメンふっとんだ」そしてあとは何も喋らずに黙々と湯麺を食する2人。「こんなにがつがつ食べたらもったいない」「でもあんまりもたもたしてると冷めるし伸びるし」葛藤しながらも恍惚状態の2人。「ちくしょー早く喰いてー!」みっくんにとっては辛い時間であった。

 そしていよいよみっくんと私の湯麺が到着。スープを啜るみっくん、でお味はどうよ?「…。ホント言葉になんないッス」あとは黙々と湯麺を食べる少年隊達。正直私は彼らにはまだこのようなラーメンは受け入れられないかと思っていたのだ。もっと油の浮いたこってりとしたそんなラーメンでないと美味しいとは思わないのではないかと。しかしそれは杞憂に終わった。というよりも本当に美味しいものは大人子供関係なく分かるものなのである。

 「これ、青菜を食べてからスープを飲むとまた違った旨さだぜ」「あ、ホントだ!」しっかり楽しみ方も覚えて成長の跡が窺える少年隊。もちろん全員完食!そこへ松井さん登場。「旨かったッス!」「そうだろう、こんな美味しいラーメンが食べられて、最高の夏の思い出になったね」。その後松井さんは少年隊のメンバーに店内に作った製麺所を案内して下さり、最近行った石岡の酒造工場の話を聞かせて下さったり、最高のラーメンだけではなく最高の思い出を作って下さった。「本当にありがとうございました!」少年隊は大きな声で松井さんに御礼を言った。

 帰り際に、またゆっくり顔を出します、と松井さんに挨拶をすると「もう彼らは戻れないね(にやっ)」と私に呟いた。ふふふ、いよいよラの世界に片足を突っ込んでしまったようだね、少年隊の諸君!

第6話:拉麺道は険しいに続く